1.03 WWWの仕組み

【インターネットと WWW】
WWW(World Wide Web)は地球規模で蜘蛛の巣状に相互接続された情報ネットワークですがインターネット = Webではありません。
インターネットはネットワーク自体の事で、一般には最も多く利用されているのがWWWとe メールなのです。
WWWとe メールは、TCP/IPを利用して動くアプリケーションとして捉える事が出来ます。

【WWWの仕組み】
WWWはTCP/IPの上で動くプロトコルであるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を利用してテキストや画像、音声などを転送します。
クライアント側のコンピュータは、ユーザーの要求に従い、Webサーバーへデータ転送を要求します。
Webサーバーは要求に応じて該当データを送出します。
この時点でクライアント側のコンピュータが受信するのはHTMLのソースコードや画像のバイナリーデータで、人間の目で見て決して理解し易いものではありません。
この理解しづらいHTMLを可視化して普段我々が目にするような形にするのがWebブラウザの役割です。

【FTPの仕組み】
FTP(File Transfer Protocol)はWebサイト用のデータをWebサーバーへ転送するのに使われているプロトコルです。
FTPではファイルの削除やファイル名の変更も行えるので、通常はIDやパスワードで認証によるアクセス制限を設定します。
また、Webサーバーのデータに対しての権利を設定することもできる為、適切なセキュリティ管理の元で使用することが求められます。

【メール送受信プロトコル】
通常 eメールでは2つのプロトコルを用います。
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)は電子メールアプリケーションからメールサーバーへのデータ転送と、メールサーバー同士のデータ送受信を担っています。
POP(Post Office Protocol)は、eメールアプリケーションがメールサーバー内から自分のメールを取り出す時に使われます。
現在では、改良されたPOP3(POP Version3)が使われています。

【ドメインネームシステム(DNS)】
インターネットではTCP/IPの仕組みを利用して、ネットワークに繋がれたコンピュータに一意のIPアドレスが割り振られて通信を可能にしています。
このIPアドレスは12桁からなる数字の組み合わせなので、人間には覚えにくく利用しづらいのもです。
このIPアドレスを人間の分かり易い文字列に変換する仕組みがDNS(Domain Name System)です。
DNSはドメイン名とIPアドレスの対応データを管理しているデータベースで、Webブラウザに入力されたURL(Uniform Resource Locator)は直近のDNSサーバへ送られ、そのドメインのIPアドレスを問い合わせて名前解決が図られます。
DNSサーバーはドメインの種類によって複数存在し、必要に応じて問い合わせ先を変更します。
更に、ドメインとIPアドレスを照会できるデータを持っているDNSサーバーがクライアントコンピュータへ返信します。
WebブラウザはDNSサーバーから入手したIPアドレスを元にWebサーバーやメールサーバーへデータ通信の為のセッションを開始します。
このDNSの仕組みと全体統括を行っているのがICANNです。

【HTMLの仕組み】
HyperText Markup Language(ハイパーテキスト マークアップ ランゲージ)、つまりハイパーテキストを作成する為の記述言語です。
プレーンテキストをタグで囲うことによって、見出しや本文、引用などを定義し、文章の構造を理解できるようにしています。また前述のハイパーリンクの設定を行い、他の文書を参照出来るようにもなります。
HTMLはWebブラウザで目にする情報以外に、制作者や概要など文書のメタ情報を記述するヘッダ情報を持っています。
HTMLは誰でも利用可能にする為、約90種のタグで記述可能になるよう設計されています。

【HTML5】
1998年のHTML4.01勧告以降、セマンティック・ウェブ実現の為の研究がW3Cによってなされましたが進捗は芳しくなく、W3Cとは別にGoogleや有力Webブラウザベンダーの有志がWHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)を立ち上げ、独自に次世代言語の策定に向けて活動を開始しました。
2007年にはW3Cもこの策定に加わり、2008年にHTML5の草案を公開しました。
勧告前の為、確定した技術仕様ではありません。
HTML5では文書の構造をより明確にする為の新しいsection、article、figureといった要素やFlashのようなインタラクティブコンテンツをプラグイン無しで動作させるcanvas要素、video要素やaudio要素が加えられる予定です。

html5ロゴ

【WWW技術の普及プロセス】
技術の普及には制作者のみならず、Webブラウザなどユーザーエージェントでの対応、関連技術との調整作業などの課題を解決しなければならないため、多くの時間を要します。
ただし、HTML5のように、実践的な必要性から、勧告になる前に急速な広がりを見せる技術仕様もあります。
ただし、新しいHTMLのバージョンが勧告されたからといって、直ちに古いHTMLで記述されたWebサイトを見る事が出来なくなるわけではありません。
HTML勧告