POINT
■コーポレートアイデンティティは、企業や組織、製品の特長や理念を具体化したものです。
■キャッチコピーやメッセージも一つのデザインです。
■コーポレートアイデンティティを強化するビジュアルデザインを心掛けることが重要です。
【コーポレートアイデンティティの主要素】
コーポレートアイデンティティ(Corporate Identity:CI)は、主に次の3つの形で表現されます 。
■名称
組織や製品、サービスを他のものと区別できる名前を付けます+。通常は会社登記や商標登録によって、その所有権を持つことになります。
■ロゴ
シンボルマークやデザイン化した文字を用いて、組織や製品、サービスを他のものと区別できるようにします。意匠登録によって保護を受けることができます。
■コーポレートコピー
経営理念を表わす簡潔な言葉です。企業スローガンのような長期的なものと、毎年変えるような短期的なものがあります。
特にロゴに関しては、時代に合わせて少しずつ変化することが多いようです。時代によって、その企業が果たす役割、ユーザーニーズ、デザイントレンドなどが変わるため、時代と調和したイメージを与え、時代遅れにならないことが目的です。Macで有名なアップル社のロゴマークの遷移などを追ってみると面白いですが、一方でSONYのようにほとんど変化の無い場合もあるようです。
なお、既に商標を登録されている名称に類似したものは商標登録が認められない場合や、一般的に用いられている名称を商標に組み入れて独自性を主張することは認められない場合があります。
※商標登録
コーポレートアイデンティティの独自性を保証する登録行為。日本では特許庁(経済産業省)の審査を通じて権利を得ますが、国内に限定されます。先使用主義(米国等)と先願主義(日本、ヨーロッパ等)があり、マドリッド協定議定書による国際出願をしていても、原則として保護を求める国全てで審査を受ける必要があります。
【コーポレートアイデンティティの主要素】
商標には商品の出所を表示する「トレードマーク(TM)」と役務の出所を表示する「サービスマーク(SM)」があります。たとえば、銀行のようなサービス業はサービズマークを使用することになります。商標には平面的なもののほか、特徴的な商品の形状、店舗に設置される立体的な看板など、立体的形状からなる立体商標と、これらが結合されたものがあります。また、視覚によって認識される標章の他に、音響、匂い、味、手触りも、店舗などでそれらを知覚した需要者が商品や役務の出所を認識できる程度の著しい特徴を有していれば、商標としての機能を発揮します。最近では正露丸のラッパのメロディーが出願されています。
日本の商標制度では「登録商標マーク ®」に関する明文上の規定は、「商標法」および「商標法施行規則」等にはありません。また商標法施行規則17条では、商標登録表示は「登録商標」の文字と登録番号としています。しかし、英語教育が行き届き、アメリカ経済の影響を多大に受け、実生活でも商標法で付するように努めなければならないと規定する商標登録表示として「®」表示が多用される日本において、一般需要者は「®」を「Registered Trademark(登録商標):registeredの略」「登録を意味するもの」と理解し、同時に、使用者も需要者が登録商標であると認識すると期待しています。ですから、非登録商標に「®」を付する行為は、商標法「虚偽表示」にあたるとみなされています。
※意匠登録
意匠とは「物品の形状、模様、もしくは色彩またはこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」(意匠法 第2条)です。企業のロゴなども登録するこのによって、意匠として法的に保護されます。
※登録商標の表示
「商標が登録商標である旨の表示」は、(たとえば日本法においては)「商標権者・使用権者が登録商標を付するときに、その商標に付けなければならない」とされています。
【ビジュアルデザインとの関連性】
コーポレートアイデンティティはビジュアルデザインと密接に関係します。企業イメージが正しく伝わるようにビジュアルデザインを決定するのは当然のこと、メッセージとブランドプロミスを強化することが求められます。また、キャッチコピーなどは言葉でありながら、それを目にしたユーザーに感動や共感を与えることで、組織や製品に対する信頼感を左右する点では、デザインの一要素と考えてよいでしょう。
コーポレートアイデンティティの中でも視覚表現に関するものは、特にVI(Visual Identity)と呼ばれます。一貫したVIによって、その企業や製品のブランドイメージが確立されるため「CI(VI)ガイドライン」に基づいたWebサイトの制作や運用が求められることが多くあります。
※ブランドプロミス
そのブランドが保障している(ことが期待される)品質や機能、価値のこと。企業がメッセージや条文として明示する場合も有りますが、ユーザーがコーポレートアイデンティティや実際の利用経験から直接受け取ることも多いようです。