5.06 インタラクティブ コンテンツ

POINT
■インターネットはインタラクティブな情報空間ですが、より豊かな情報を提供するコンテンツ表現手法が登場しています。
■インタラクティブなWebアプリケーション制作のための新しい言語として、HTML5が急速に普及しています。
■ユーザーの理解や操作のし易さを考えたインタラクション設計が求められます。

【インタラクションとは】
インタラクションとは「相互作用」と訳されます。2つ以上の存在が双方向の対話やコミュニケーションを起こすことを指しています。インターネットは本質的にインタラクティブな情報空間です。ユーザーはさまざまな情報端末を用いてインターネットにアクセスし、画面を通じて提供される情報を読み取り、マウスやキーボードといったコントロールデバイスを用いてアクションを行い、自身の要求を満たします。この意味ではGUIを用いたコンピュータはもちろんですが、Webサイト制作では特にFlashやSilverlight、JavaScriptなどを用いたリッチコンテンツを指すことが一般的です。つまり、本来の意味での「インタラクティブな」情報空間であるインターネットの中に「特定の技術や表現」を意味するインタラクティブコンテンツという概念があることになります。

【インタラクティブテクノロジー】
ユーザーの入力に合わせて反応する動的なWebサイトを構築するには、前述のFlashやSilverlight、JavaScriptなどを用いて構築する必要があります。これらの技術を用いることで、画面遷移を伴わずに画面の状態を変更させ次のユーザー行動を促すことが出来たり、映像や音声を用いたリッチな情報表現を行ったりすることができます。
次世代技術でもあるHTML5にもインタラクティブコンテンツを表現するための技術が用意されているため、インタラクティブコンテンツの実現手段は複数あり、目的に合わせて適切な技術を選ぶ必要があることを覚えておきましょう。

【インタラクションの実現手段】
実は、これらのインタラクティブコンテンツテクノロジーを用いなくても、ユーザーの入力に合わせた相互作用が可能です。
例えば、通常利用しているWebブラウザはリンク要素にカーソルが乗った際に、カーソルが指の形に変化します。これはポインタであるカーソルの状態を変化させることで、ユーザーに「直前の状態から何らかの変更があったこと」を知らせることを目的としています。これはWebブラウザが独自で持っているインタラクション伝達のための仕組みと言えるでしょう。
また、パソコンのOSにはユーザーの入力を受け付けるために、入力装置としてキーボードとマウス、インタラクションの対象を示すためのポインタとしてカーソルが存在します。これらはユーザーとコンピューター間のコミュニケーションを行うための道具として用いられます。

インタラクションは、利用する端末の特性によっても左右されます。近年のスマートフォンやタブレット端末はタッチパネルを採用していて、カーソルの位置で状態を変更する仕組みは実現できません。このため、指先を触れるタッチ操作によってインタラクションを起こす仕掛けが必要になります。
インタラクティブコンテンツは、単に採用技術だけでなく、ユーザーからの入力の受付やタスクのスムーズな実行のための制作手法が、端末などの環境によって変わることを理解しておくべきなのです。

【インタラクションの実現方法】
インターネット上でインタラクションを成立させるには、ユーザーが自分の意志をパソコンまたはWebサイトに伝えること、そしてWebサイト側では色や形状の変化を用いてユーザーに何らかの反応を伝える仕掛けが必要になります。アクションが起こる要素(文字やオブジェクト)にカーソルが重なった場合に、コントラストを反転させる、文字色を変更する、アニメーションを始めるなどが一般的に多く見られます。
このことは逆に「インタラクションが起こらないものに対しては、余計なアクションを付けない方が良い」という事でもあります。カーソルの形が変わったり、色が変わることは、ユーザーに何らかの反応を期待させることになります。単なる装飾やギミックだけのために変化を付けることはユーザビリティの観点からも好ましくないでしょう。

【コンテンツとしてのインタラクティブ】
インタラクティブテクノロジーについては、後々にもう少し詳しく取り上げることにしまして、狭義としてのインタラクティブコンテンツは利便性の高い情報提供の方法を通じて、ユーザーにより満足度の高い体験をしてもらうことが目的です。
例えば、Webサイトでの回遊や操作方法を人物を用いて表現するPIPやグラフィックや独自のインターフェイスを用いてユーザーの入力を容易にしたリッチインターネットアプリケーションが登場しています。特にリッチインターネットアプリケーションについては、任意団体である「RIAコンソーシアム」において普及活動が進められています。

【コンテンツとしてのインタラクティブ】
インタラクティブコンテンツを実装する際には、その表現や反応が何のために役立つのかを考慮する必要があります。

1.その表現や提示方法によって、従来の方法より操作性が向上し、操作の間違いが減る
2.その表現や提示方法によって、コンテンツ提供者への信頼度やブランドが醸成される

また、この目的を達成するために

1.ボタンやリンクの操作によってもたらされる結果が予想し易い装飾を施し、アニメーションや動きに必然性があること
2.ユーザーによる操作やコンテンツの変更など、状態の変化が確実に伝わること
3.ユーザーの操作ミスなどを想定し、取り消しや修正ができるようにすること

などのユーザビリティに留意する必要があります。
新しい技術に注目するだけでなく、ユーザーの利便性を向上させるインタラクションとは何かを考える事が重要です。