POINT
■スケジュール管理は利益管理の点からも重要です。
■無理なスケジュールを立てると、成果物の品質が下がるため、各タスクに適切な日程を設定するべきです。
■ガンチャートやクリティカルパス法といった一般的な手法を理解し、適切なスケジュール管理を行うことが重要です。
【適切なスケジュール管理の必要性】
プロジェクトにおいてスケジュールを適切に管理することは、適切な利益を生み出すためだけでなく、成果物のクオリティにも関係します。一つのプロジェクトが完了したすぐ後に別のプロジェクトが待っていたり、同時に別のプロジェクトが進行している場合、そのプロジェクトのスケジュールが遅れることで他のぷろじぇくとにも遅延や変更などの影響を与えることになります。一般的には、作業内容に対して短いスケジュールしか用意されていない場合、成果物のクオリティを上げるのが難しくなります。改善などフィードバックの繁栄に充分な時間や労力が避けなくなること、急ぎの作業を強いられることでミスやバグが多くなってしまうこと、検証やデバッグに時間がかけられなくなること、複数の作業者が同一作業に取り組みタスクを消化する際のコミュニケーションロスなど、本来必要な作業が出来なくなることが原因です。プロジェクトの要求が膨らみ機能を追加しなければならない場合や、仕様に変更があった場合には、スケジュールを再編成するなどの対応を行うのが理想的です。また、スケジュールの終了日が延ばせない場合、機能追加を減らすことで対応する方法もあります。
【スケジュールの管理手法】
スケジュールの管理手法としては「ガンチャート」と「クリティカルパス法」の2つが良く知られています。ガンチャートはWBS (Work Breakdown Structure)で作成されたタスクにかかる所要日数をカレンダーにプロットしていき、タスクの完了目標日を明らかにして進捗状況を記入していく方法であり、最もよく使われている管理手法と言って良いでしょう。この手法では計画と実際の進捗の差異が分かり易く、調整すべきタスクの相関性が見つけ易いようです。
【スケジュールの管理手法 (クリティカルパス法)】
ただし、プロジェクト内の空くタスクの相関性が把握できないので、大規模なプロジェクトではガンチャートと並行してクリティカルパス法もよく用いられるようです。クリティカルパスは、各タスク間の相関性、依存性を明らかにして、重複進行できるタスクや余裕のないタスクを明らかにできます。スケジュール管理にあたっては、実際の作業日数だけでなく関係者の確認に要する日数やフィードバックの対応日数なども含めた所要日数を算出しておくことが重要です。また、関係者への周知や変更報告など、適切なコミュニケーションを求められます。
クリティカルパス法には図的表現を含め、いくつかの流儀があるようですが、プロジェクト・ネットワーク・ダイアグラムを例にしてみました。タスクを四角で表し、タスク間の依存関係を矢印で表現します(ネットワーク図ではタスクのことを「アクティビティ」とよぶ慣習もあります)。この際、タスクの四角の中を7つの小さな区画に分けておきます。真ん中の区画に、タスクの内容を表すわかりやすい名称を記入します。その上の区画に、WBS番号を、その下の区画には推定所要時間を書いておきます。これらの中で、所要時間合計が最も長い経路をクリティカル・パスといいます。そしてプロジェクト全体の所要時間は、クリティカル・パスの長さに等しいのです。逆に言うと、クリティカル・パスの長さがプロジェクトの納期を決めることになります。