2.15 クリエイティブ・コモンズ

POINT
■インターネットの文化に則した形で知的創造性を維持、発揮させる為に生み出されました。
■クリエイティブ・コモンズは反著作権の概念ではなく、より柔軟な著作者の権利を認め、広範な利用を促すものです。
■クリエイティブ・コモンズには4項目目について6段階の著作権強度を著作者自身が設定可能にしています。

【新しい著作権の在り方】
インターネットのもたらす利便性と二次創作という新しい文化への試み、そして著作権利者にもたらす影響をどのようにバランスを取るのか。旧来の著作権では全ての権利を保護ずるか、一切の権利を放棄するか、どちらかしかありませんでした。より自由な文化創造を育むための新しい著作権の在り方を考え、法的な問題を回避しようとする動きは既に始まっています。クリエイティブ・コモンズ(Creative Commons)はハーバード大学のローレンス・レッシグ教授(当時はスタンフォード大学)を中心に、知的所有権やインターネット法などの専門家によって進められているプロジェクトです。クリエイティブ・コモンズでは、創造物に関しての著作権強度を、創作者自身が4項目6段階の設定ができるクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを制定していて、文書、動画、音楽、写真など多様な作品に適用することが可能です。

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クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(https://creativecommons.jp/)
クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)(活動母体:特定非営利活動法人 コモンスフィア)は、日本でクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの普及を行っています。CCJPはボランティアの活動で支えられています。
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日本では2003年にクリエイティブ・コモンズ・ジャパンが発足し、このライセンスを日本の法体系に則したものにする活動を行っていて、2008年の日本政府による知的財産推進計画改定において、クリエイティブ・コモンズの取り組み促進が明記されました。
クリエイティブ・コモンズの適用・明示にあたっては、以下の3つの方法があります。
・コンテンツの為のライセンス原文にあたる「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCL)」
・誰にでも分りやすくライセンスを示したコモンズ証
・クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの内容に基づきRDF構文で記載されたメタデータ

クリエイティブ・コモンズが適用された著作物は、その著作権強度の範囲内で、他者が創作者の許諾を求めずに自由に使うことが可能となります。

【クリエイティブ・コモンズの採用事例】
クリエイティブ・コモンズを採用した事例として、MIT(マサチューセッツ工科大学)から始まった、大学や大学院などの高等教育機関で正規に提供された講義とその関連情報を、インターネットを通じて無償で公開するオープンコースウェアや、有名アーティストが自身の楽曲やアルバムを他者が二次創作に利用できるように公開している例があります。
ソフトウェアに関しては、クリエイティブ・コモンズより先に、GPL(GNU General Public License:GNU一般公衆利用許諾書)が存在している為に対象外となっています。GPLは、プログラムの利用と内容の改変、複製物の再頒布と改良版の頒布の権利を認めており、OSからDB、ECシステムやブログシステムまで数多くのソフトウェアで利用されています。

【クリエイティブ・コモンズ規定の4項目】
クリエイティブ・コモンズで規定される作品の利用条件の4項目は、下図の通りです。

クリエイティブ・コモンズ 利用条件の4項目

クリエイティブ・コモンズで規定される作品の利用条件の4項目

「改変禁止」と「継承」は同時に採用できません。また、全てを採用しないことは不可とされているので、2.0以降のバージョン(2013年11月現在2.1)では「表示」を採用することが必須条件となっています。実際にあり得る組み合わせとして、コピーライト(法律で定められている全ての権利の保持)からパブリックドメイン(すべての権利の放棄)の間に下記の6通りになります。
・表示(CC BY)
・表示-改変禁止(CC BY-ND)
・表示-継承(CC BY-SA)
・表示-非営利(CC BY-NC)
・表示-非営利-改変禁止(CC BY-NC-ND)
・表示-非営利-継承(CC BY-NC-SA)

クリエイティブ・コモンズの利用条件6通り

コピーライトからパブリックドメイン間の利用条件6通り

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