2.13 インターネット関連法規

POINT
■インターネットビジネスやWebサイトに関する法令にはさまざまなものがあり、内容や遵守方法について最低限知っておかなければなりません。
■電子契約法、特定商取引法などは電子商取引を行う上で、基本中の基本となります。他に、従来の商取引に関連した法規があります。
■個人情報保護は、電子的に取得した情報と紙で取得した情報、これを伝達する際に該当します。

【インターネット事業全般の運営に関連する法律】
インターネットビジネスを行う上で、事業者として、そして一般消費者としても理解しておかなければいけない法律が増えてきています。(2013年現在、増え続けています)
インターネット事業の運営に関する法律には、次のようなものがあります。

■不正アクセス禁止法
インターネット通信を行うにあたって不正アクセスをしてはならないとする法律。不正アクセスとは「他人の識別符号、もしくは識別符号以外の情報や指令を用いてアクセス制御機能を通過し、本来制限されている機能を利用可能にすること」であり、不正アクセスの対象となる電子計算機(コンピュータ)のバックエンドに認証サーバーがある場合も同様です。
管理者には以下の措置を義務付けられています。
・識別符号等の適切な管理
・アクセス制御機能の検証及び高度化
・その他不正アクセス行為から防御するために必要な措置の義務

■青少年ネット規制法
18歳以下の青少年をインターネット上の有害情報から守るための法律で2008年に成立しましたが、3年以内に内容を見直すことになっています。Webサイトを運営し情報を提供するものに対しては、青少年が有害な情報に触れないような措置を講じる要件が課せられています。また携帯電話のキャリアには、有害情報へのアクセスを制限するためのフィルタリング措置が課せられています。実効性があり、かつ市場の成長を妨げない規制の在り方をめぐって、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構を中心に検討が進められています。

■不正競争防止法
公正な競争を行うために設けられた法律です。他人の著名な商標を使用したり、類似した意匠を用いて消費者に混同させるような商品表示を禁じ、企業内の機密事項を違法な手段で収得、入手したり売却する行為やアクセス管理機能や著作権保護機能を無効にする機器やプログラムの提供も禁じています。

■プロバイダー責任法
インターネット上に公開されている情報によりプライバシーや著作権の侵害があった場合に、プロバイダー(回線提供者だけでなく、掲示板などの運営者も該当)が負う損害賠償責任の範囲が規程されている法律です。権利侵害の被害が発生した場合であっても、その事実を知らなければプロバイダーは被害者に対して損害賠償責任を負わなくてもよいとしています。また、被害者に正当な理由がある場合、その情報発信者の情報開示を請求することができます。

【顧客・消費者の権利保護に関する法律】
インターネットビジネスを行う事業者は、次のような顧客や消費者の権利を守る法律が課せられています。

■個人情報保護法
個人の人格尊重のもとに、生存している個人の情報を適切に扱うことを事業者に課した法律です。
個人情報を取得し事業に使用する事業者には以下の義務が課せられています。
・個人情報の利用目的を特定する
・取得に際して利用目的を通知し、適正な方法で取得する
・通知した取得目的を超えた利用を行わない
・特定の場合を除き、対象者の同意無く第三者へ情報を提供してはならない
・本人から個人データの開示変更要求、削除依頼があった場合に速やかに応じる

■迷惑メール防止法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律、特定電子メール送信適正化法)
メール配信先の同意を得ない大量無差別メール送信を規制する法律です。宣伝を目的としたメールの一斉送信は、受け取り側のオプトイン(受取り許諾)を必要とし、その許諾意思を記録として保存しなければなりません。この法律は海外サーバーからの発信でも効力を発揮します。例外には、自らの電子メールアドレスを送信した者、その事業者と取引関係にある者、総務省の定めで自己の電子メールアドレスを公表している団体または営業を営む個人が該当します。

■特定商取引法
消費者トラブルの起きやすい取引類型を対象に、事業者の不公正な勧誘行為を取り締ま消費者取引の公正を確保する法律です。「事業運営者の情報開示」「商品やサービスの価格と支払時期、提供期間」「事実と著しく相違する情報を表示し消費者に誤認を与えることの禁止」「表示の裏付けとなる資料の提出」「未承諾の者に対するeメールDMの禁止」「顧客の意に反する申込みをさせる広告の禁止」などが想定されています。

■電子契約法
電子商取引における契約では、申し込み完了前にユーザーが申し込み内容を確認出来る措置を講じなければならないことを規定しています。具体的には、申し込みボタンをクリック後、申し込みの意思表示となる確認画面を設け、ユーザーの意思によって修正できる機能を用意する必要があります。

【その他、特定のインターネットビジネスに関連する法規の例】

■景品表示法
不当な表示や過大な景品類を規制し、公正な競争を確保することにより、消費者が適正に商品・サービスを選択できる環境を守ることを目的とします。

■古物営業法
オークションを含め、中古品の流通を行う場合に必要とされる法律です。

■薬事法
医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療周辺機器の製造販売の許可制度や効能の宣伝に関する制限を設けた法律です。健康食品も主に「栄養成分や熱量に関する表示を行う場合の基準」「虚偽・誇大な表示の禁止」「特定保健用食品の許可・承認」「栄養成分の機能を表示する場合の基準」「特別用途食品の許可・承認」の5項目で関わります。

■旅行業法
旅行業全般に関わる法律です。旅行業を営む事業者は登録制とし、取引の公正性の維持、旅行の安全の確保を目的としています。