2.12 ECビジネス

POINT
■EC市場も景気後退の影響を受けていますが、B2C市場は順調な伸びを見せていて、国際的な商取引も増加しています。
■ECを実施するための付帯事業はアウトソーシングが利用でき、店舗運営のみに集中することが可能になっています。
■Webサイトへのユーザー誘導に関して、経路も複雑になっており、差別化と合わせて合理的な戦略が必要になっています。

【EC市場の拡大】
EC市場は、その誕生のときからビジネスとしてのインターネットの可能性が期待され、実際に急成長を遂げてきました。経済産業省が発行する「平成21年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、B2BのEC市場は毎年10%以上の伸びを達成し、成長を続けています。業種別に見た場合、食料品小売業と医薬化粧品小売業の伸びが顕著でした。これは家庭内生活の領域でのECの普及がめざましいことを表しています。また、この報告書によると国内消費だけでなく、中国や韓国など海外から日本のECサイトを利用する越境EC利用が伸びていることが伺えます。多言語対応と決済方法、アフターサービスを改善することで、さらなる成長が期待できると予想されています。

「平成23年度我が国情報経済社会における基盤整備」経済産業省

「平成23年度我が国情報経済社会における基盤整備」経済産業省

【ECの形態】
ECの事業形態は単体で行う方法と、モールへの出店に加え、ドロップシッピング型なども登場しています。ECを行うには店舗となるWebサイトの運営だけでなく、集客とフルフィルメント(物流、受注、決済、配送、アフターフォロー)が必要となるが、現在はそれぞれの機能のアウトソースを提供する事業者が登場していて、店舗運営のみに集中することも可能になりました。こうした参入リスクの低減によって数多くの業者が登場し、その結果、同業間の競争が激化していますが、各事業者は差別化のために下記のような独自性を必要とされています。
・品ぞろえの工夫
・売り場としてのコンセプト作り
・サービスや付加価値
・見せ方

ECにおけるユーザーの訪問経路としては、検索エンジン経由が依然として重要な位置を占めますが、コモディティ商品については価格比較サイトなどで最安値の商品を調査して購入店舗を決定したり、競合の多い商品ではインターネット上での評判を調べてからベストだと思われるものを購入するなど「賢い消費者」が増えているため、検索エンジン対策だけでなくソーシャルメディア対策も重要になっています。
なお、価格比較サイトについてはGoogle社が始めた「Googleショッピング」によって価値を奪われるとの見方がありましたが、Googleショッピングは現在Google Marchant Center経由で出稿する広告なので、このような危惧は霧散しました。
また、他のユーザーによる評判(レビュー)を調べるだけでなく、個人的なネットワークでの評判を重視するソーシャルフィルタリングを活用する動きもあります。