2.04 インターネット業界のビジネス構造

様々な業種がインターネットに取り組めるのは、この業種の裾野が広いからでしょう。

POINT
■Web業界は、ユーザーから直接利益を得る事業者と、運用を支援する事業者に大別できます。特に運用を支援する事業者は、様々な専門性の高いサービスを提供する事業者が存在します。
■インターネットビジネスはそれぞれの事業ドメインに合わせて複数の事業者を最大限に活用出来る編成をもって取り組む時代になっています。
■事業を推進し成功させるには、適切な業者を選定する能力と市場動向を見抜く力、適切なマネジメント能力が必要です。

【インターネットビジネスの形態】
インターネットのビジネスモデルを別の角度から見ますと、Webサイトを用いて、ターゲットユーザーから直接利益を得る事業者と、その経済活動を支援する事業者に分類することができます。例えば、消費者に向けて日用品を売るECサイトを運用する事業者は、消費者から直接利益を得ます。この事業を助けるビジネスとして、Webサイトで用いられるコンテンツの制作請負や広告出稿業務、より効果の高い広告サービスを用いた各種販売促進支援事業があり、決済や配送システムなど特別な機能の提供、ASPなどのアプリケーションシステムのインフラ提供といった、Webサイト運用を支援する事業があります。こうした事業者はECサイト運営事業者に対して専門的なサービスを提供し、対価を受け取る
収益構造を持っています。このように現在のインターネットのビジネスは、さまざまな技術進化やトレンドの変化の中で特定の能力に特化した他企業を活用し、適切な組合せを試行錯誤しながら事業を進めていくモジュール型の体制作りが主流のようです。

【取引構造のメッシュ化】
旧来の産業においては「財閥」や「系列」を元に、発注先も受注先も固定された長期専属型の事業形態が多かったようですが、現在ではその傾向は減少しています。特にインターネット業界では、少数のクライアントに売上を依存するのではなく、激しい市場環境の変化に対応して取引先を広く求める事業形態へ変化しているようです。このような変化は製造業などのいわゆる「取引構造のメッシュ化」と呼ばれる変化と同じものです。これからのビジネスでは、企業の社内だけでなく多くの専門性を持ったプロフェッショナルと共にチームを組み、チームで目標を達成していくことが必須となります。インターネットの技術やビジネス動向に気を配りながら、さまざまなメンバーをまとめていくプロジェクトマネジメント能力が要求されます。取引構造のメッシュ化

取引構造のメッシュ化(中小企業庁白書 2007年版)