POINT
■信頼性と存在価値を獲得するためのブランディングは、コーポレートコミュニケーションによって達成される目標です。
■インターネットでのブランディングは、CIの制定や広報活動による認知度向上と好感度向上にあてられています。
■CSRは「余力で行うもの」から「積極的に推進するもの」へと変化し、今以上にインターネットを活用した広報活動が重要になります。
【ブランディング】
ブランディング活動には、認知してもらうための行為と、信頼性を高めるための行為が含まれます。認知のためのブランディングとしては、コーポレートコミュニケーション、その一貫としてのコーポレートアイデンティティー(CI)やクリエイティブのガイドライン制定といったビジュアル面での取り組み、ユーザーの興味を惹くプロモーション活動の実施などが挙げられます。もう一方の信頼性を高める取り組みとしては、経営者の事業説明責任やCSR活動などが挙げられます。
【CSR(Corporate Social Responsibility)】
CSRとは、企業が自身の利益追求だけでなく、事業組織の活動が社会に与える影響に責任を持ち、あらゆるステークホルダー(利害関係者)からの要求に対して適切な意思決定をすることを指し、近年の企業経営においても重要な議題となっています。企業のグローバル化や国際競争の中で、CSRはコーポレートコミュニケーションに密接に関わるようになっていて、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)によって「社会的責任」の呼称で「ISO 26000」が2010年11月1日に発行されました。このような流れの中で、CSR活動をインターネットを活用しながら実施する企業が増えています。Webサイトを通じてCSR活動を報告したり、地域社会や持続可能経済貢献するコンテンツを運営する
など、その方法は多岐にわたります。代表的な例では、NEC社の運営する「エコトノハ」やVolvic社の「1L for 10L」などがあります。このような活動を通じて、企業の存在意義をりかいしてもらい社会と共生していく試みは、マーケティング面の効果も認められていて「コーズマーケティング」と呼ばれています。
欧米ではCSRは今やコストセンターとしてではなく企業の「身だしなみ」と捉えられていて、テーマも児童労働や差別の撤廃、正当な報酬と労働時間の順守など幅広い取り組みがなされ、インターネットなどを用いた広報活動を通じて企業の存在価値を高めていく段階にあります。しかし、日本ではCSRはまだ寄付活動やボランティアと同義に捉えていることが多いようです。
市場がグローバル化する中で、地域社会との共生を図り企業のブランド価値を高めていくことが企業戦略の必須事項となります。そのため、インターネットを活用したCSR活動の周知は今後ますます増加すると思われます。