2.09 スマートフォン アプリ

POINT
■スマートフォンアプリはインターネットリソースへの新しいアクセス手段です。
■スマートフォンアプリはOS別に専用に開発する必要があり、公開や入手のためのマーケットが用意されています。
■アプリマーケットは国内だけでなく世界を対象としているので、大きな市場であると同時に競争も熾烈です。

【スマートフォンアプリとは】
これまでの携帯電話とは異なり、パソコンと同等の処理能力や機能性を備えたスマートフォンの登場によって、通常のパソコン向けWebサイトを閲覧して利用できるようになりました。さらに、特定のスマートフォンOSでの動作を前提としたアプリケーション開発も注目されています。スマートフォンアプリは、Apple社のiPhoneやiPad用「App Store」、Google社のAndroid OS用「Google Play」(2013年8月現在の呼称)などで公開できます。ユーザーは、これらのサービスから端末にダウンロードして利用します。

スマートフォンアプリは、多くのシステム開発者の障壁だったユーザーからの直接課金を実現可能にしたことが大きいです。先進的とされていた日本のモバイルインターネットですらユーザーへの課金は、キャリアの公式コンテンツプロバイダとなり、厳格な審査を受ける必要がありました。このためコンテンツ開発能力だけでなく、資本力やノウハウが必要だったのです。スマートフォンアプリでは、各ベンダーによるSDKが用意され、比較的ゆるやかな基準を満たすことで公開できるため、開発者が法人ではなく個人単位でコンテンツホルダーとなることも可能となり、汎用性の高いアプリからニッチなアイデアのアプリまで幅広い種類が公開されています。特にスマートフォンはカメラやタッチパネルでのデータ入力だけでなく、コンパスや加速度センサーなど従来の携帯電話には無かった機能を元にデータ取得が可能となり、今までにないアプリが数多く生み出されています。

(参考)OSの対応
独自にアプリを開発した場合、AndroidだけではなくiOSを無視できない現状が経費の増大となって企業の負担になります。iPhoneやiPadのユーザーはパソコンでいうWindowsに対するMacユーザーの比ではないのです。
OS別契約数はAndroidが63.3%、iOS(iPhone)が34.8%(2013年3月28日)。ただ、スマートフォンの利用実態に関しては、iPhoneが6に対してAndroidが4と言われています(2013年8月現在)。

(参考)
Google Playのデベロッパー登録料金は$25.00、販売マージン30%です。対してApp StoreはiOS Developer Programに¥8,400 (為替変動によって変更される場合があります)で参加すれば配布可能です。
iOS Developer Enterprise Programに¥24,800 (為替変動によって変更される場合があります)で参加すればApp Storeを経由せず社内専用配布ができますが、DUNS番号という世界標準の企業識別コードを取得している企業団体のみが参加可能となっています。

【さまざまな課金方法】
課金の方法にもバリエーションがあります。アプリの入手自体に自由な課金額を設定出来るだけでなく、アプリ内での課金も可能です。また、通常の携帯電話(ガラケー)向けコンテンツのような月額課金も検討されています。
2010年4月、Apple社のiOS4でiAdの対応が発表されました。これはアプリに広告枠を設定できるようにする仕組みで、開発者はこれを利用することでAppleに集められた広告表示を行い、広告掲載手数料を得るというものです。日本では電通がiAdの国内展開パートナーシップを結び、2011年より業務を開始しています。
Googleは2012年6月にモバイルアプリ向け広告ネットワークAdMobをAdWordsに統合し、現在ではAdWordsから普通に広告を出すことが可能になっています。

Androidアプリのマーケットは、現状ほぼ無審査でマーケットもオープンです。Google Checkoutを用いた課金だけでなく、キャリア課金にも対応しています(ソフトバンクまとめて支払い auかんたん決済 spモード コンテンツ決済サービス)。
キャリア課金の場合、クレジットカードを持たない未成年者でもアプリの購入が可能で、スマートフォンの普及に貢献していると考えられます。

垂直統合型のAppleに比べ、Android市場はオープンなので、独自のマーケットを運営する事も可能です。NECビッグローブの運営するAndroidnaviなどがあります。スマートフォンアプリの登場によって、個人事業者をはじめ小さな事業者にもユーザーに直接課金できる仕組みが提供されました。また、従来Webブラウザを通じてアクセスしていたインターネットの世界をアプリがさらに広げることになりました。Webサービス事業者も専用のビュワーアプリを提供し始めていて、この世界への期待がうかがえます。また一方で、ユーザーの間にもソーシャルアプリによる新しいライフスタイルが生まれています。