POINT
●電子商取引(EC)は、商取引市場全体から見て、成長の余地が残っているようです。
●B2B、B2C、C2Cのいずれの商取引についても、技術的なトレンドやユーザーの行動特性を踏まえた対応が必要です。
●グローバルな市場、情報の伝播力などを活かしたビジネス構築が大切です。
【3種類のビジネス分類】
インターネット上のWebサイトやWebサービスのビジネスモデルには様々な種類がありますが、その構造をビジネスに関わる当事者の視点で見ると、大きく3つに分類できそうです。
■B2Bモデル
例として、オフィス用品の販売、業務用パソコンの法人販売、部品や原料の調達・貸出、人材派遣、法人向けインターネット回線契約、ネットメディアへの宣伝広告掲載などが考えられます。B2Bモデルは電子商取引の中で一番大きな金額となっていますが、電子商取引はB2B取引市場の15%に満たない規模です。(2009年、 B2B市場規模131兆円)※経済産業省「平成21年度我が国情報経済社会における基盤整備」
■B2Cモデル
電子商取引が企業と消費者の間で行われる場合です。例として、音楽CD・書籍・雑誌などの販売、MP3や電子書籍などのデジタルコンテンツの消費者向け販売、ECサイトでの物販、家庭向けのインターネット回線契約などが考えられます。2009年度の市場規模は6.7兆円程ですがEC化率は2.1%なので、まだまだ成長の余地はありそうです。※経済産業省「平成21年度我が国情報経済社会における基盤整備」
■C2Cモデル
電子商取引が消費者同士の間で行われる場合もあります。例としては、インターネットオークション、個人が行うデジタルデータのダウンロード販売、個人開発のソフトウェア販売、Webサイト内での消費者同士での中古品売買などが考えられます。厳密には、このモデルは法人が用意した取引の場や決済の為の仲介業者が必要となるなど、純粋に消費者同士で成立しないことが多いようです。
参考:経済産業省「平成23年度我が国情報経済社会における基盤整備」
B2Bの市場規模は狭義で171兆円(広義では258兆円)、B2Cモデルは狭義でで8.5兆円。EC化率はB2Bが16.1% (広義では24.3%) 、B2Cが2.8%です。
日本国内の電子商取引の定義は次のとおりです。
(1)広義電子商取引(広義EC)
コンピューターネットワークシステムを介して、商取引(受発注)が行われ、かつその成約金額が捕捉されるもの。広義ECには、狭義ECに加え、VAN・専用回線、TCP/IPプロトコルを利用していない従来型EDI(例:全銀手順、EIAJ手順等を用いたもの)が含まれます。
(2)狭義電子商取引(狭義EC)
インターネット技術を用いたコンピューターネットワークシステムを介して、商取引(受発注)が行われ、かつその成約金額が捕捉されるもの。「インターネット技術」とは、TCP/IPプロトコルを利用した技術を指しており、公衆回線上のインターネットの他、エクストラネット、インターネットVPN、IP-VPN等が含まれます。
注)この調査におけるEC化率とは、全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する電子商取引市場規模の割合とされています。
【インターネット上の課金モデル】
インターネット上のビジネスモデルを会社の事業全体から見ると別添図(インターネットのビジネスモデル)のようになります。大きく分けて、ネット単体で利益を創出する方法と、リアル事業と組み合わせたり、リアル事業での収益に貢献させる方法に分類してあります。近年では特に広告収益モデルとコンテンツ課金・サービス課金モデルが多様化していて、ユーザー属性ごとに適切な広告を表示してROIを高める広告手法や、Webサイト内にサードパーティー製のアプリケーションを展開できるようにしたソーシャルアプリケーションなどの仕組みが登場しています。また、iPhoneやAndroidなどのスマートフォン市場では、OSにマーケットプレイスを組み合わせて、インターネットアプリケーションを直接ユーザーに販売できる仕組みも登場しています。
またインターネットならではのビジネスモデルとして、コンテンツやサービスを無償で公開したり提供し、より高機能・高付加価値の上位サービスを有償で提供する「フリーミアムモデル」が注目されています。