1.02 インターネットの仕組み

【インターネット通信プロトコル】
インターネットとは、「inter(相互)」+「net(ネットワーク)」、つまり世界中のネットワークが相互に接続されたネットワークのことです。
家庭や企業に置かれたネットワークがISP(インターネットサービスプロバイダ)によってさらにネットワークを構築して、ISP同士がIX(インターネットエクスチェンジ)を通じてさらにネットワークを構築しています。

異なるコンピュータ同士でデータ通信を行う為の取り決めや規約をプロトコルと呼びます。
コンピュータ同士の通信は国際標準化機構(ISO)によって定められたOSI(Open Systems Interconnection:開放型システム間相互接続)によって7つに分けられた各階層ごとに役割を分担して通信を行っています。
一般的にインターネットの通信として重要なのは、OSI参照モデル中の第3層以上です。(下記参照)
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第7層 – アプリケーション層:具体的な通信サービス。
第6層 – プレゼンテーション層:データの表現方法(コード変換等)
第5層 – セッション層:通信プログラム間の通信の開始から終了までの手順
第4層 – トランスポート層:ネットワークの通信管理(エラー訂正、再送制御等)
第3層 – ネットワーク層:ネットワークにおける通信経路の選択。データ中継。
第2層 – データリンク層:直接的に接続されている通信機器間の信号の受け渡し。
第1層 – 物理層:物理的な接続。コネクタのピンの数、コネクタ形状、光ファイバへの電気信号の変換等
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インターネット上の通信プロトコルはTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)です。接続された機器に独自のIP アドレスが割り振られ、通信する相手と自分を特定するインターネット上の住所の役割を果たしています。ドメインとの関連は後々に実践的な部分として出てくると思いますので、今回は省略します。

このIP アドレスは、NIC(全世界)→APNIC(アジア)→JPNIC(日本)→各プロバイダという順番にアドレスが割り当てられています。通常は個々のデバイスやレンタルサーバー、会社のネットワークなどに対して動的にアドレスを割り振りますが、有料の固定IPサービスも有ります。

【パケット通信(パケット伝送)】
線帯域が通信中で、他の通信が出来なくなる事を避ける為に通信データはネットワーク上をパケット(packet)単位で分割伝送されています。余談ですが、パケットデータは16進数で構成されています。コンピューターは2進数だと思っていると大きな間違いだったりするので気を付けてください。

パケットには通信先・通信元・全データの長さ・何番目のデータであるか、などがヘッダ情報として付いています。通信先へ届いたデータは、ヘッダに書かれた並び順に再結合され、元のデータを構成します。気付いている人もいるでしょうが、このヘッダ情報が付随するので、パケットで送受信されるデータは元のデータよりファイルサイズが少々大きくなっているのです。

パケットはルーターによって送り出され、途中に障害があっても他の経路へ転送されます。この柔軟かつ効率的な経路選択を「ルーティング(routing:通信経路選択)」と呼びます。
一定回数転送されても届かないデータは消滅し、欠損したデータは送信元に再要求します。

WebブラウザとWebサーバー間のHTML送受信に使われるHTTP(HyperText Transfer Protocol)や、メールで用いられるSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)やPOP(Post Office Protocol)、ネットワーク間でファイル転送に使われるFTP(File Transfer Protocol)は、全てこのTCP/IP の仕組みを利用しています。

【インターネットの管理団体】
インターネットの世界には絶対的な管理団体は存在しません。しかし、安全な通信とより利便性の高い利用の為にいくつかの非営利団体が存在します。W3C ぐらいは耳にされたこともあるでしょうし、Web 検定を受けない方も覚えておいてください。
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■ISO(International Organization for Standardization):国際標準化機構
電気分野を除く工業分野の国際的な標準である国際規格を策定するための民間の非政府組織。

■IETF(Internet Engineering Task Force):インターネット技術タスクフォース
TCP/IPのようなインターネットで利用される技術の標準化を策定する組織。
HTTPやFTPの通信規約、HTML2.0までの策定を担当しました。

■W3C(World Wide Web Consortium):ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム
Webで使用される各種技術の標準化を推進する為に設立された標準化団体、非営利団体。HTML3.2以降やXML、XHTML、DOMの記述言語仕様、CSSのような装飾表現仕様を定める。GRDDLのような次世代技術の検討の他、下位組織WAIではアクセシビリティガイドラインの策定も行っています。

■ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers):アイキャン
インターネットのIPアドレスやドメイン名などの各種資源を全世界的に調整・管理することを目的として、1998年に設立された民間の非営利法人である。ただICANNは民間非営利団体ながらも米商務省の傘下にあり、一般に「インターネットガバナンス」と呼ばれる国際問題となっています。
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【インターネット接続サービスの流れ】
1995年頃
商用インターネットが普及し始めた頃で、電話回線。従量課金制なので、必要に応じて接続をしていました。電話料金と接続料金を支払っていました。

1996年
NTTのテレホーダイ(深夜早朝定額制サービス)がきっかけで「ISDN(総合デジタルサービス)」のユーザーが増えました。ISDN ならば、64kbpsの通信速度ですが電話しながらインターネット接続が可能となりました。

2000年以降
ブドードバンドと呼ばれるADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line、非対称デジタル加入者線)やCATVインターネット、FTTH(Fiber To The Home、ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)と呼ばれる光ファイバー通信のユーザーが増え、常時接続・高速通信が当たり前になりました。

2001年頃から
無線アクセスによるインターネット接続が認知され始めた頃です。DDI(現ウィルコム)がPHP回線を利用した無線インターネット接続サービス「Air H”」を提供。1991年に提唱されたユビキタスコンピューティングが現実味を帯びてきた時代でした。

2007年
イー・モバイルが定額制の無線通信サービス「EMモバイルブロードバンド」を提供。

2009年
UQコミュニケーションズ株式会社(KDDI系列)が「UQ WiMax」を提供開始。より実用的な回線速度と投資価値が実現し、インターネットモバイルユーザーは更に増加しました。

2005年頃から
ISP が契約者に対して、特定エリア内での公衆無線LAN(ホットスポット)を提供し始めました。駅、空港、ホテル、ファーストフードショップ等の商業空間が中心となっています。現在では携帯電話だけでなくノートパソコンの様な高性能情報端末を使って、ユーザーのニーズに応じたインターネット接続が屋外でも利用できるようになっています。