2.05 インターネットの メディア特性

POINT
■インターネットは今までのメディアになかったメディア特性を持っていて、それによって変化したユーザーの消費行動特性は「AISCEAS(アイセアス)」と呼ばれています。
■ユーザーは複数のWebサイトを回遊し、さらには自身で作り上げたフィルターによって情報を識別し、行動する時代へ突入しています。
■これからのビジネスでインターネットを使わないことはほぼ考えられず、最新の動向に合わせて変化するユーザーの行動特性を踏まえて取り組むことが重要です。

【既存メディアとの違い】
メディア特性の点で、インターネットがその他のメディアと大きく異なるのは「能動性」、「検索性」、「リピート性」、「双方向性」の4つでしょう。
■能動性
テレビ・ラジオなどは情報を不特定多数に発信できる「Push型」メディアです。情報の発信者と受信者が明確に区別され、受信者はチャンネルを変えるぐらいしか情報を選択する方法がありません。一方でインターネットには膨大な量の情報が存在し、受信者が能動的に自分の知りたい情報を探す「Pull型」メディアという特性があります。現在では多くのネットユーザーが、Googleなどの検索エンジンを使って目的の情報に辿り着くようになっています。
■検索性
インターネットでは誰もが情報を発信出来ること、そして、情報発信のためのツールが整備されてきたことによって、今日の膨大な情報空間が作り上げられています。情報をくまなく検索できるテクノロジーによって、自分が知りたい情報へ、ほとんど手間をかけることなく辿り着けるようになっています。これは、今までのメディアにも、図書館のような情報を蓄積した空間にもない特徴です。
■リピート性
インターネット以外のメディアは基本的にスポット情報です。テレビやラジオではCMの短い時間内で情報を伝えねばなりませんし、時間の経過で記憶から内容が消えます。一度消えた情報に再びアクセスし入手する方法は基本的にありません。雑誌や新聞も情報として形を残しますが、処分した後に再びその情報を得るには、図書館や専用サービスを必要としますし、場合によっては入手不可能です。インターネットの情報は物理的な制約から解放されているので、発信者が意図的に消さない限り情報は残っていて、コンテンツの更新はあるにしても重要なものは維持されます。
■双方向性
インターネットは「インタラクティブメディア」と呼ばれる通り、双方向のコミュニケーションを前提としています。ブログやSNSの普及から始まったCGM型のサービスが台頭するに従って、双方向性が飛躍的に進化しつつあります。以前はインタラクティブといっても、個人ユーザーと提供者間のN対1のコミュニケーションだったものがCGMの浸透によって多数のユーザー同士のN対Nコミュニケーションが加速されています。結果としてインターネットは、1つの情報が多数の情報発信者によってさまざまな派生的情報(引用・コメント・意見など)を生み出す空間に生まれ変わっています。さらにはTwitterなどのマイクロブログの登場によって、よりリアルタイムな情報発信とコミュニケーションがなされるリアルタイムWebの世界が始まっています。

【ユーザーの消費行動の変化】
ユーザーの消費行動とメディアの役割を表す言葉として、旧来は「AIDMA」という言葉が長らく使われてきました。マーケティングの基本とされるほどの代表的なユーザーの消費行動プロセスですが、これがインターネットの登場によって変化しました。AIDMAはインターネット登場以前のような情報発信者と受信者が分かれていた時代には消費行動を示すのに適した言葉でした。インターネットが広告・プロモーションチャンネルだけでなく、情報検索の方法として、また誰もが情報発信できる場として熟成したことによって、ユーザーの行動プロセスが大きく変化しました。
それを代表した言葉が「AISCEAS(アイセアス)」です。現在の消費者はイスに座ったまま商品のさまざまな情報を検索・比較・検討して、購買と、その後の評価までしてしまうのです。実店舗での購入、オンラインでの購入に関係無く、実際の購買行動に至るまでにユーザーはインターネットでさまざまな情報収集を済ませています。

【情報の取捨選択時代】
ユーザー側の発信する情報が圧倒的な量になると受信する者が情報源の重みづけを行い、膨大な情報の中から必要なものを効率的に選ぶための独自のフィルターを作るという行動が見られるようになりました。世界最大のSNSであるFacebookから始まったソーシャルグラフによって、インターネット上で繋がった人々の行動が見えるようになりました。国内でも「GREE」や「mixi」など大手SNSがソーシャルグラフを活用し始めると、ユーザーが情報を自ら能動的に検索していく行動は減り、代わりにソーシャルグラフのデータを参考にしたり、TwitterやFacebook上で友人に問いかけ、その反応を見るというソーシャルフィルタリングが増えています。
このようにユーザーは単独の情報源によらず、あらゆるところから情報を受け取る体制を作り、その膨大な情報から自分に適した情報を取捨選択する時代に突入しています。
企業はインターネットのメディア特性に加えて、ユーザーの行動特性を考慮してインターネット戦略を組み立てる必要があります。どんなに良い製品とそれを訴えるコンテンツを開発しても、ユーザーが検索するであろう言葉で検索結果に表示されなければWebサイトへの来訪は望めません。また、その情報がソーシャルフィルタ―を通じても残るようにしなければ認知もされません。ユーザーが生み出す情報は生産者や提供者がコントロールすることができず、情報経路も1対1の関係を結べなくなった今、どのように情報を提供し、どうやって自社の強みをアピールするのか。それを考える事が、インターネットマーケティング担当者の重要な仕事です。